tripb28
チョコレート紀行 ─ベルギーへ行く─
*
アントワープは、ダイヤモンドの取引の中心地。
研磨の技術が素晴らしいらしく、世界中からダイヤモンドの原石が集まってくる。
私にとって、ダイヤモンドはちょっと特別なモノで、
宝石、というものにはさほど興味はないんだけど、
なぜかダイヤモンドとは相性がいい気がずっとしていた。
それに気づいたきっかけが、私の祖母の指輪。
小さい頃、神戸の家に遊びにいくと、古い宝石箱を見せてもらうのが楽しみで、
「これが猫目石だよ」とか「これがルビー」とか教えてもらっては
ため息をつきながら、着けさせてもらっていた。
おそらく高価であろう宝石たちの中で、どうしても好きなひとつの指輪があって
それは、小さなダイヤモンドの指輪だった。
祖父が、はじめて祖母のために、デパートで買ってあげた指輪だと言う。
わっかの部分に細かい細工があって、控えめで、なんとなくアンティークな印象だった。
そして、なぜか母のマユミもその指輪が好きだったらしく、
いつだったか、祖母から受け継いで、毎日のように身に付けていた。
その後、大人になった私に譲られ、ここ10年くらい私の一部として一緒に生活してきた。
ダイヤモンドは高価だし、大切にしまっておきがちだけど、
実は普段使いに適している。
宝石の中でも最も硬いということは、丈夫だということ。
しかも、色が透明だから、洋服を選ばない。
ジーンズにダイヤモンド、みたいな感覚で楽しめる数少ない宝石だと思う。
そして、単にファッションという意味ではなく、お守りのような存在でもある。
不思議なもので、元気がないときにつけると元気になったり、
逆に、どうしても体調が悪かったり、波長が会わない時は、外したくなることもある。
← →
