trip1 ちいさなひとり旅 ─ヘルシンキへ行く─   1日目 2日目 3日目 4日目 旅を終えて






旅行ギライの私が、また旅に出ることになってしまった。
どうしてこんなことになったんだっけ。

ここ何年か、ずっとスカンジナビアが気になっていた。
仕事で出会った、ものすごく美しいスウェーデン人のモデルさん。
その生きざまに涙が出た、アンデルセンのビデオ。
中庭が気持ちよくて、友だちと通いつめた「cafe Daisy」。
親友が誕生日に贈ってくれた、イッタラのガラスのボール。
大好きなテキスタイル、マリメッコ。
子どもの頃からずっと使っていたような、アラビアの食器。
地図のどこにあるのかも知らないというのに
目にとまるもの、手にとるものが、「スカンジナビア」という糸で
いつの間にか、ひとつに繋がっていた。

それでも旅ギライな私は、まだ本気で計画しようとしていなかった。
でも、ある日、久しぶりに仕事が一段落して、
あてもなく本屋に入ったとき、一冊の本に吸い寄せられた。
「スカンジナビア・ノスタルジア」その本を手にとると、
中には私が最も愛してやまない、毎日使っているアラビアのカップ&ソーサーの写真。
ブックデザインは私の好きなところがやっていて、
どっかで見たと思った著者は、本当に会ったことのある方だった。
2年ほど前、たまたま入った雑貨店で開かれていた個展で、
お茶をごちそうになって、彼女の本を一冊買って帰ったんだった。

本と一緒に家に帰り、ドキドキしながらページをめくり始めたたとき、
パソコンにメールの着信の音がした。
誰?と思って開くと、なんと「スカンジナビア観光局」からのお知らせ。
今まで一度も来たことがないのに、なんでわざわざこのタイミングで!
もうこれは無視できないと思い、私は心を決めた。

思い立ったら気が変わらないうちにと、飛行機をとる。
ゴールデンウィーク、すべりこみセーフ。
デンマークも、スウェーデンも捨てがたかったけど、
何が見たいというよりも、ゆっくり歩いて感じたい。
だから、フィンランドはヘルシンキだけに絞って、移動はしないことにした。
ヘルシンキには、アラビアもマリメッコもイッタラもある。
なんでそれらをこんなに好きで、自然と選んでしまうのか。
どんな人たちが、どんな顔をして歩いていて、どんな空の色で、どんな風が吹いているのか。
行って、確かめてきます。
4泊6日の、ちいさな、はじめてのひとり旅。