tripb37
チョコレート紀行 ─ベルギーへ行く─
*
お互いに驚きながらも、話はどんどん盛り上がる。
すると彼が、ふと思いついたように
「いつもは決して見せないけど、特別にいいものを見せてあげる」と言って
奥の金庫から、なにかを大切そうに抱えて持ってきた。
「僕の、プライベートコレクションだよ」
そう言って見せてくれたものは、
アンティークのチョーカーだった。
真珠とダイヤモンドが、縦に約10粒ずつ交互にぎっっっしりと並んでいて、
ずらっと首の周りを包み込む、太めの台形のチョーカー。
プリンセスがつけていたという。
真珠は、淡いクリーム色で、あたたかい光をたたえている。
本物ならではの、しんとした存在感。
そしてなんと、思いがけないことに、
彼がそのチョーカーを私の首にそっとつけてくれたのだ。
ずっしりと重く、ひんやりと冷たい。
でも、まるで皮のように、肌に吸いつくようなつけ心地。
「本当に、ありがとう」
さっき会ったばかりの私に、こんな経験をさせてくれるなんて。
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