tripb38 チョコレート紀行 ─ベルギーへ行く─






気づくと、店に入ってからずっと、
私の右手にはあの指輪がはまっていた。
つけていることを忘れるほど、自然だった。
私は心を決めて、彼に言った。
「この指輪は、私を待っていたと思う。」
「そうだね。」
そして、サイズ直しを日本ですることになるからと、
その分をかなり引いてくれて
思っていたよりも、ずっとお値打ちに譲ってもらうことができた。

手を振って、別れたあと
深呼吸しながら、ホテルへと急ぐ。
まさか、こんなことになるとは!

現実だけ見ると、今日、私はダイヤモンドを2つも買ってしまった!わけだけど
でも、この指輪に関しては、買い物だという気がまったくしない。
出会ってしまった。
そうとしか言いようがない。
物欲とか、おしゃれとか、そんなものを超越したところでの
運命の指輪。だったんだと思う。

アントワープに来た理由がわかった気がした。