ちいさなひとり旅　─ヘルシンキへ行く─ 　　1日目　2日目　3日目　4日目　旅を終えて





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5月3日（火）　ヘルシンキ



煙突のある建物の中は、意外にも明るくてきれいだった。
まずは9階の、アラビアミュージアムへ。
思ったほど広くないスペースに、たんたんと古い食器たちが
ガラスのケースに入って並んでいる。
中でも、昔の職人が描いたらしい手書きのラフに、
突然ぐっときて涙が出そうになった。
お皿とそのフタをいかにぴったり合わせるか、という
試行錯誤の経緯が見てとれ、その情熱と集中力が伝わってきたから。




100年前の食器ですら、古いと感じさせない普遍的なデザインや、
子どもの頃に絶対に見たことがある！と確信する絵柄を発見して、
今は改築して昔の面影をなくした神戸の祖母の家にいるような
なつかしい気持ちになった。
ここにあるものを手にとることは一生なかったとしても、
絶対に忘れないと思った。




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