tripb31
チョコレート紀行 ─ベルギーへ行く─
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今回の旅では、ほとんど博物館や美術館に行く余裕すらなく
ここまで来てしまったけれど、
どうしてもここだけは見ておきたいと思い、モード・ミュージアムへ。
2002年にオープンしたばかりで、王立アカデミーのファッション科も
この中に移転したそうで、彼らはどんな所に毎日通って洋服を作っているのだろう…と
とても興味があった。
中に入ろうとしたとき、ポスターが目にとまる。
ヨージ?ヤマモト??
その時、頭の中がフラッシュバックして、何ヵ月か前に見た新聞の記事を思い出した。
アントワープで、ヨージヤマモトが画期的な展覧会をしているというもので、
なんとなく気になって、スクラップしていたのだった。
まさか、ここだったとは!

中に入るなり、心臓が止まる。
目の詰まった美しい木で作られた大きな吹き抜けの階段の途中に、
オフホワイトの衣装。
ほとんど縫い目の見当たらない、ジャージのような生地でつくられた
ウェディングのように見える。
そして、反対方向に振り向くと、まるで相反するように
悪魔のような真っ黒の衣装が、ガラス張りの中庭にすっくと立っていた。
芝生の上に、砕かれた鏡。
白と黒。天使と悪魔。善と悪。
すごい登場感。期待をあおられまくり。
言葉は何もなくても、圧倒的なインパクトがあって、
完全にノックアウトされてしまった。
会場に入ると、そこは真っ白の空間。
アトランダムに、シンプルなマネキンが置かれている。
マネキンの足もとの床には、数字がふってあり、
洋服の裾には「TRY ME ON」の文字が。
そう、この展覧会が、他とまったく異なるのは、すべて試着可能だということ。
触れることすらできないのが、普通なのに。
すでに、ここの学生らしき人々が、楽しそうに試着をしている。
ヨーロッパ人がヨージの服を着るとこうなるんだ…。
見ているだけでも、充分おもしろい。
でもせっかくここまで来たら、やっぱ参加しないとねってことで、
白と黒のコットン地のコートを着せてもらった。
あの立体的なラインの美しさは、確かに着てこそ実感できるというもの。
ニッポン万歳!ヨージ最高!
彼の才能、オリジナリティが、世界からリスペクトされていることも伝わってくる。
アントワープで見れてよかった。

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